離婚を考えたとき、多くの人が気になるのが「財産分与」ですよね。「離婚したら財産はどうなるの?」「自分が貯めたお金はそのまま残るの?」と、不安に感じることも多いはずです。
結論から言うと、財産分与とは、婚姻中に夫婦が築いた財産を公平に分けることを指します。これは単に財産を半分に分けるだけではなく、それぞれの貢献度や状況に応じて決められるものです。
1. 財産分与の基本的な考え方
まず、財産分与には大きく分けて次の3種類があります。
- 清算的財産分与:夫婦が婚姻中に築いた財産を公平に分けるもの。
- 扶養的財産分与:離婚後に経済的に自立が難しい配偶者を支援する目的のもの。
- 慰謝料的財産分与:相手の不貞行為やDVなど、離婚の原因を作った側が支払うもの。
この中で最も一般的なのが「清算的財産分与」です。これは夫婦の共有財産を適切に分けることで、離婚後の経済的な公平を保つことを目的としています。
2. 具体的に分ける対象となる財産
「財産」と聞くと、多くの人は現金や預貯金を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際には以下のようなものが財産分与の対象になります。
- 預貯金:結婚後に貯めたお金。
- 不動産:夫婦で購入した家やマンション。
- 車:婚姻中に購入した車も対象。
- 株式・投資信託:婚姻中に運用していた資産。
- 年金:厚生年金などは分割の対象になることも。
- 家財道具:テレビや冷蔵庫などの家具・家電。
一方で、次のような財産は基本的に分与の対象になりません。
- 結婚前に持っていた財産(独身時代の貯金や親から相続した財産など)
- 個人的な贈与や相続財産(親からの遺産や贈与など)
3. 具体例で見る財産分与のケース
ケース1:共働き夫婦が離婚する場合
夫(年収600万円)と妻(年収300万円)が結婚10年目に離婚するとします。
- 預貯金:800万円
- 持ち家:3000万円(ローン残高1000万円)
- 車:200万円
この場合、財産分与の基本ルールに従って、夫婦の共有財産である預貯金や不動産を分けることになります。
預貯金の分け方
一般的に、婚姻中に築いた財産は原則「2分の1ずつ」分けることになります。そのため、800万円の預貯金は、夫婦それぞれ400万円ずつ分ける形になります。
持ち家の分け方
持ち家の場合、
- 売却して現金化し、残ったお金を分ける。
- どちらかが住み続ける場合は、もう一方に相応の金額を支払う。
といった方法をとります。たとえば、家を売却し、ローンを返済して残った2000万円を2人で分けるなら、それぞれ1000万円ずつ受け取ることになります。
ケース2:専業主婦がいる夫婦の離婚
夫(年収800万円)、妻(専業主婦)が結婚15年目に離婚する場合。
- 預貯金:1000万円
- 夫名義の退職金:500万円(離婚時点での評価額)
この場合、専業主婦の妻も財産分与を受ける権利があります。夫が稼いだお金でも、婚姻期間中に築いたものは「夫婦の共有財産」とみなされるためです。
- 預貯金は500万円ずつ分ける。
- 退職金についても、婚姻期間中に形成された部分は分与対象となり、250万円ずつ分ける可能性がある。
4. 財産分与の進め方
財産分与をスムーズに進めるには、以下の手順を踏むと良いでしょう。
- 財産をリストアップする
- 預貯金通帳や不動産の登記簿を確認。
- 夫婦で話し合う
- できるだけ冷静に協議し、合意できる範囲を決める。
- 合意が難しい場合は弁護士や調停を利用する
- 財産分与がまとまらない場合、家庭裁判所の調停を利用する。
5. まとめ
財産分与は、離婚後の生活を支える重要なプロセスです。感情的になりやすい部分ですが、しっかりと財産を把握し、冷静に話し合うことが大切です。
「自分にはどのくらいの財産分与が認められるのか?」「どうすれば公平に分けられるのか?」と不安に思う場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。適切に財産を分けることで、新しい生活のスタートをスムーズに切ることができるでしょう。